ウースター(第一期) コーヒーカン (1755年頃)
A Worcester (First Period) Coffee Can C.1755
ウースター初期のコーヒーカン。カンとは言っても垂直な円筒形ではなく、下部に向かって少し狭まっていく形状。また、口縁付近を除いた全体に縦縞の浮彫り模様が施されている。取っ手はループ型のバリエーションで、上部に親指かけがあり、下部は上下二つに分かれている。
1755年頃のウースターのロンドン店舗(シティのAldersgate StreetにあるLondon Houseの中にあった)の価格表が現存しており、そこにはコーヒーカップも何種類か掲載されている(価格は1ダース単位)のだが、本品のような縦縞のカップ/カンは"Coffee Cups & Cans, ribb'd & Wav'd"と表記されているうち"ribb'd"の方に該当するとされている。なお、受け皿は不随しなかったと考えられている(同じ価格表に、受け皿がある場合は"Cups & Saucers"と表記されている)。
絵付け装飾は、口縁近くの縦縞がなく平らな部分に、染付けの青で横に連なる文様化された花が描かれている。(なお、この形状のカンにはエナメル絵付けされた作品もある。)
裏面には、絵付けを担った職人のマーク(葉のような輪郭と直線が組み合わされたもの)が染付で書き込まれている
高さ(H):5.3cm
マーク:手描き染付の職人マーク
Marks: A workman's mark painted in underglaze blue
参照文献/References:
- John Sandon "The Dictionary of Worcester Porcelain" p.116 (Coffee Cups and Cans) and p.223 (London shop's price list)
- Simon Spero & John Sandon "Worcester Porcelain 1751-1790 The Zorensky Collection" Cat. Nos. 22 & 521
- Geoffrey A. Godden "Godden's Guide to English Blue and White Porcelain" p.147 & Plate 171
(2021年2月掲載)